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□小ネタ
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◎白石くんが男子高生だと仮定した時のある日の白石くん+α
「‥‥‥」
俺――白石蔵ノ介は最近妹の影響により日本史にこれでもかというぐらいの興味を抱き始めていた。まあ、元来己の学校の校風的にも日本史に興味を持たざるを得ない状況だったのだが。
話は変わるが俺は所謂――“歴女”と言うのがあまり好かなかった。いや、勿論、真に歴史が好きな女子というのは大変好ましい。そうではなく、ただ断片的に‥‥もっと端的に言うならゲームや漫画の影響を受けて、それで歴女と名乗る輩が許せなかったのだ。
「まあ‥‥私もクーちゃんと最初は同じ気持ちやったで。歴女っちゅーんはそういんちゃうやろ」
「あれは歴女やない。ただ断片的な、ただのオタクや」
そんな俺が何故、少しばかり心を広くもつことが出来たかと言えば、偏にこの漫画のおかげだ。俺は勿論、戦国時代も好きだが、江戸時代の幕末も好きなのだ。坂本龍馬に感化されたわけではない。
真田くんに聞いた所、彼の答えは十中八九、戦国時代だったのだが‥‥どうやら俺が渡した漫画により、あの真田くんが漫画を読み、そして幕末に興味を抱いた。
「白石、まとめて貸してくれて有難う」
「おお、気にせんといて」
「しかし‥‥いや、失礼に値するかもしれんが、白石がまさか日本史が好きで、しかも幕末だったとはな。意外だった」
「んん‥‥まあ、そやな。俺自身も意外やから」
「そうか。‥‥ああ、そうだ白石。礼と言っては何だがお前にこれをやる」
「え?何これ?あれやん、今流行りの」
「流行りと言われると些か複雑な気もするがな――まあ、やってみろ。返すのはお前らがまた東京に来た時でいい」
自嘲気味の真田くんに、半ば押し付けられるように渡された漫画を見た。彼がそもそも漫画を持つこと自体が珍しいと思うのだ。しかも女子が今たぎっているものではないか。出はゲームと聞いていたが、漫画も有るとは恐るべき人気。
「クーちゃん、」
東京から大阪に帰り、自宅の玄関に入れば、待っていましたと言わんばかりの妹に出くわした。そう言えば俺の妹は俺からの話で真田くんに少なからず好意を抱いていた。何とも複雑である。
兄としてはもうちょっとこう――いや、真田くんが悪いわけじゃなくて――何と言うか、もっとこう、他にいるやろ。
「真田さんにめだか組貸してたんやろ?私にも見せて!」
「別に‥‥ええけど」
何だなんだ、拍子抜けした。てっきり何を話したかと聞かれるかと思えばめだか組か。それならいくらだって貸してやるわ。
「あ、そや。クーちゃん。さっき隣のおばさんがケーキくれたから食べといて。クーちゃんのしか無いから」
「え、どういう事?俺の分だけって」
「クーちゃん以外はもう食べたんよ」
「‥‥‥」
と、言われて部屋を見渡したりしてみるが、家にいるのは俺と妹二人きりである。残り三人は一体どこに行ったのか。そんな俺の気持ちを察してか、妹が口を開いた。
「皆夜ご飯買いに行ったの。クーちゃんお疲れ様会?」
「ほー‥‥そらおおきにな。で、友香里は俺のお疲れ様会の調達には行かんかった訳な」
「や、やってめだか組‥」
意地の悪い顔でニヤニヤと笑ってやれば、嫌そうな顔をした友香里が弁明をした。冗談です、はいーとか言いながら冷蔵庫からケーキを出す。フルーツケーキか‥‥最近は野郎共ばかりの中であまり好きではない肉、肉、肉の連続。胃のストレスからニキビも一個出来た。これはショックである。
「あれ、珍しい。クーちゃんどないしたん」
「ニキビやろ?肉ばっか食わされたせいで腹痛いねん。敵わんわー」
「クーちゃんってアレやんな。草食やんな。ホンマ道端に生えてる草もっさもっさ食うてそうで引くわ」
「‥‥‥」
ビキリとこめかみに青筋が立った。
――気がする。
いや、しかし齢18歳の兄として、ここは寛大な心で受け止めるべきではないか。きっと友香里にも悪気はないはずなのである。
「ああ、そや。俺真田くんからBASARAの漫画借りたんや」
「あー、漫画出とるもんね。私はゲームのが感動するけど」
「ゲームか‥‥目悪くなりそ」
「明かりつけて一時間だけやればええ話でしょ!‥‥そや、私がゲーム貸したげる!先に漫画読んで勉強しなよ!」
「いやいや、俺一応受験生――」
「たまにの息抜きっちゅーことで。クーちゃん最近勉強し過ぎやから」
言われてみて、はた、と気付く。
確かにそうかもしれない。俺の第一志望は国公立大。オトンは私大に行ってもええ言うてくれたけど断った。私大に行くのは友香里でいい。友香里には、姉さんのように私大で何不自由なく勉強して欲しい。
過保護と言われればそれまでやな、と心の中で自嘲した。
「‥まあ、たまにならええか。ほなゲーム一式貸して」
「うん!あ、壊したら利子付けて返してね」
「おー、壊さんけど参考までに利子聞いたるわ。なんぼ?」
「ゲーム機とゲームソフトで利子やから‥‥利子だけで50000円は取るで!」
「ごまっ‥‥アホか!利子のが高いやないかい!」
「壊したらの話やん」
「‥‥‥‥」
この金の亡者め‥‥!と内で呟く。よし決めた。友香里には何が何でも姉さんと同じお嬢様系女子大学に行かせたる!!彼氏?そんなものはいらない。いざとなったら俺が良さそうな奴見繕って紹介すればいいのだ。
因みに姉さんにはそうした。姉さんの性格からしてもピッタリな感じの。ああ、いい。友香里も絶対そうしよ。お嬢様に矯正しよ。
「お前の大学姉さんと一緒な。今決めた」
「ええーーっ?!私にあんなお嬢様系合わん!アカン!」
「姉さんを見習いなさい」
「彼氏作れへんやん」
「俺がイケメン紹介したるさかい、自分は今からあの雲のような偏差値に手が届くように勉強せぇ」
「何や腹立つ言い方やな‥‥!そんなに言うならやったる!やけど、絶対イケメン紹介してな!!希望は真田さんみたいな」
「却下ぁぁぁぁあああ!!!!!!!!」
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長いw
白石家はこんな感じと信じてる←
幕末めだか組はいいですよ。
私のイチ押しはやっぱり慎三郎ですかね。
イケメンひゃっふうう!