シリーズNovel

何度も何度でも、貴方と。
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熱いコーヒーを口にする。


口の中に広がる苦味と、ツンとした香ばしい香りが私の身体を包み込む感覚がたまらなく好きで、知らず知らずの内に私の口元を緩ませる。


薄く揺れる白い湯気が朝の空気に溶けて、私の周りの空気すら優しく包んでくれているような、そんな暖かな朝が、とても好きになった。



本当は苦手だった朝の空気が、好きだと思えるようになった。





もう何度目だろう?



こうしてベランダで朝、マグカップを手にして太陽を見上げるのは。


ささやかな日常の幸福と思える時間を――彼と一緒に過ごすのは。


「おはよう」と私の目を真っすぐ見て微笑む彼の低い声、薄く微笑むその笑顔を好きだと自覚したら、もう、どうしようもなくなった。





貴方にもっと、近づきたい――。







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