シリーズNovel
□終わり、始まり。
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――こんな朝早く…誰よ。
世間的には決して早い時間ではないけれど、私にしてみればかなり早い時間だった。
少しでも私を知っている人なら、こんな時間に私が起きていることなんて無いと承知しているはず。
なのに。
「はぁ〜い!どなたですか?」
「私!私!」
オレオレ詐欺ならぬワタシワタシ詐欺か!とツっ込みたくなる。
声で誰かは分かったけれど、名前くらい名乗って欲しいものだ、なんて思う私は間違ってる?
振り返ると、これでもかというほど散らかった部屋。
誰かを招き入れるなんて普通は憚られるだろうこの部屋に、入れてもいいと思える数少ない私の親友。
それは、こんな私の実情を知っている彼女だからできること。
その親友が今、部屋の扉を強打していた。
――あぁでも、理解してくれているにしては“こんな時間に”と思わないでもないけど…。
少しだけ腑に落ちない気持ちを抱き鉄製の重い扉を開くと。
怒っているような悲しんでいるような、何とも言えない顔をした親友が飛び込んできて、
私に抱きついた――。