シリーズNovel
□終わり、始まり。
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「で?どうしてなの!?」
「ちょ、ちょっと待って和泉!玄関で話す話じゃないでしょ!とりあえず上がって?…散らかってるけど」
申し訳程度に断った私に、間髪いれず、今さらでしょ、と、そう言った和泉。
私より先に部屋にズカズカと乗り込んでピタリと足を止めた。
部屋に入った彼女の背中が言う。心の声が聞こえてくるようだ。
“うわぁ…いつも通り”と。
そんな背中を見て、微妙に胸に引っ掛かるものがある。
“ギャップあり過ぎ”と、そう言って私をフった、和泉のいう“最低男”を思い出してしまう。
脱ぎ散らかした服、スーツを拾いハンガーに掛けながら、和泉は私に向き直った。
目が“早く話して!”と言っていて、乾いた笑みが零れてしまう。
「誰に聞いたの?私が彼にフられたこと」
「朝、陸に聞いた」
“陸”というのは和泉の恋人で、私の元彼の上司(?)に当たる人間だ。
和泉経由で彼と出会い付き合うことになったのだから、そこらへんの情報は筒抜けだと気づくべきだった。
「聞いての通り、フられました。ギャップありすぎだってさ」
「何それ!?ホント最低!!仕事はできても男の風上にもおけない奴!」
「あ〜うん、まぁ、ねぇ?でもホントのことだしね」
自分が男なら、私みたいな女と付き合いたいとは思わない。
こんな自分を自覚していて、直す気が無かったのだから、尚更。