シリーズNovel
□何度も何度でも、貴方と。
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――愛想、つかされちゃったのかな…?
今日は会えなかった。どうしてだろう?
彩りを無くした私の、一日の内で一番幸せだと思える瞬間。
最近は、彼と過ごす朝のたった10分そこらの時間になっていた…のに。
「梨乃」
底の見えない闇の穴にどんどん気持ちが堕ち込んでいきそうになって、このままじゃいけないと目を開けたら――どうしてだろう?笑っているように見える晟那が私の顔を覗き込んでいた。
「え?何?」
珍しい。仕事の始業時間はとっくに過ぎているのに、晟那が私に話しかけている。
私と晟那は業務内容が違うから、仕事中は殆ど話さない。元々口数の少ない晟那は、仕事中は更に少なくなるのだ。
なのに。
「今日金曜だし仕事終わったら飲みにいかない?…デートなければ」
――ッ!?!?
え、え!?晟那が私を誘ってる?え、これ現実?というか…本気?冗談?
「何その顔」
「え?だって、え?今何て言った?もしかして飲みに行かないとか聞いた?」
「うわ、何それ。聞こえてたくせに聞くの?間違い無くそう言ったよ。信じられないって顔に書いてるけど?梨乃。失礼だなぁ」