シリーズNovel

何度も何度でも、貴方と。
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「いや、驚くでしょ、そりゃ!晟那から誘ってくれたこと、今までにあった!?」
「あ〜…ないかも?」


見事なまでの惚けッぷり。

これが驚かずにいられるかと声高に主張すると、苦笑いで晟那は「雨でも降るとか言わないでよ」と冗談交じりにそう言って、私を見た。


「まぁまぁ。で?行くの?行かないの?」
「行くけど!」


行かないわけがない。飲みたい気分だったし、真っ直ぐ家に帰る気もしなかったから。

だけど――


「どうして急に!?」


興奮してしまった私は自分の声がいつも以上に大きくなっていることに気づかなかった。

だから他の同僚達の訝しげな視線が向けられているとに気づくまで、向かい合った席で私と晟那は仕事とは全く関係のない話を続けてしまっていて。

ハッと気付いた時には上司が私たちを睨んでいた。


「えっと…後で話そうか…」
「う、うん。そうだね…」


晟那も私も仕事はいつも真面目にこなしていたから睨んでいた上司にお怒りの言葉を受けたりはしなかったものの、晟那からお誘いを受けるなんて初めてのことだったからか、この後私が仕事に集中できなかったのは言うまでもなく。

結局残業になってしまった私は、先に仕事を終わらせていた晟那を待たせる結果となってしまった――。





「ね、どうしたの?何かあった?」


ジョッキを傾けながら、職場では聞けなかった、今日の“お誘い”の理由を尋ねる。

あぁ、とジョッキを置いた晟那は一つ息をついて、困ったような申し訳なさそうな…とにかく何とも表現しがたい顔で眉をハの字にして私を見た。


「何かあったのは梨乃の方なんじゃないの?」


神妙な顔つきでどんな理由を聞けるのかと思えば、見事に質問返しされ、思わずポカンと口を開けてしまう。
いつもいつも、晟那は私の予想通りの答えは返してくれない。


「え?私?」
「うん。最近は落ち込んだ顔見てないな〜って安心してたのに、今日はかなり落ち込んでたでしょ?」






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