君ズキュ
□ZQN..3
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「おーい奈紫乃ー」
学校から帰ってきた兄が私を呼んだ。
『なーにー?』
私たち兄弟は仲が悪くない。
世間一般の兄弟よりは何でも話し合う仲だ。
「お前、俺の部屋から漫画とジャンプ持ってっただろ。」
『あ、ごめん…返すの忘れてた…』
「後で戻しとけよ。
けどお前センスあるな。」
『え?』
どこに、なんのセンスが?
「CROWとTRAP持ってくなんてよー」
『やっぱり人気なんだ…』
「おう、特にエイジな。アイツは天才。」
『へー…すごいな…』
なんで エイジ呼びやねん!って突っ込んでやりたくなったけど我慢した
「後でメール入れとこ。お前の漫画を妹が気に入ったって。」
『…………お前の漫画…?』
「ん?」
『借り物なの?これ』
うわ、ちょっと折れてたりしたらどうしよう
ぐるぐる不安が駆け巡る。
「違う、違う。その漫画はちゃんと俺の。売り上げに貢献してんだ。」
『紛らわしいこと言うなや!ヒヤヒヤしたわ!』
「な、なんだよ…;;」
え、じゃあ…[お前の漫画]って…まさか
『お兄様…?』
「んだよ。気持ちわりぃな」
普段は[兄ぃ]と呼ぶ私が[お兄様]なんて呼んだものだから大袈裟に反応してみせる
失礼な…!
『まさかなんだけど兄ぃはさ、』
「おう。」
『新妻エイジ様と……』
「友達だぞ、クラスメートなんだ」
私は目眩に襲われた。