ファンアル

□凍えの熱帯
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蒼い蒼い眸。

かなしみと。
自己嫌悪と。
苛立ちに濁って。

それでも、きみは決然と顔を上げるんだね。
ボクが笑いかけると。
零れ落ちそうなくらい。

涙が。
溢れる。

おずおずと、ボクの招きに応じて。
きみは。
お布団の中に入って来た。
ボクが何も言わないでいると。
きみも無言で。

……このまま。
隣で、眠ってくれるだけでいいよ。
本当はね。

抱きしめて。
きみの体温を。
感触を。
一生、忘れないように。

だけど。
……それじゃあ、ダメなんだよね。
めそめそ湿った感傷なんて、ボクらしくもないか。

きみから見たボク。
我儘で。
傲慢で。
だらしなくて。
色呆けで。
強引で。
自己中心的?

そんな感じかなぁ。
……ろくでもないよ。
きみの隣に並ぶのには。
最初から、相応しくなんてないんだ。

ね?
酷いこと、沢山してあげる。

ちゃんとボクを嫌いになって。
軽蔑して。
二度と会いたくない、って。
そういう気持ちになって。
綺麗にお別れしようね。

さよなら。
アルヴィス君。

……すきだよ。
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