ショウセツ
□君の隣
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「ん、持ってきたで。跡部」
「ああ、サンキュ」
忍足が持ってきてくれたのは、たくさん氷が入った、アイスコーヒーだった。
少し甘くて、凄く冷たくて、喉が渇いていたせいもあって、市販のコーヒーは余り好まない俺でもすぐに飲み干してしまった。
「あ、跡部、もう飲み終わったんか」
「ん、ああ」
「おかわりいれてきたるよ?」
「もういい、ごちそうさま」
「い〜え、お粗末様でした」
喉が潤い、することもなくなり(DVDはいつの間にか終わっていた)手持ち無沙汰になった俺は、何となく、グラスを片付けに行った忍足に目を向けた。
(綺麗だよなぁ)
男に『綺麗』なんて言葉相応しくないかも知れないけど、やっぱり『綺麗』と言う言葉が1番、忍足にはまる気がする。
忍足がグラスを洗う水の音だけが響くなか、俺はじっと忍足を見つめていた。
自分でも気付かぬうちに見惚れていた。
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