羞
□らしくない計画
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「また今度行こうよ、ね?」
「そうだけど…」
「でしょ?だから落ち込まないで」
「ム〜、今日はかっこよく決めるはずだったのにぃ」
まだ諦めきれないのか子供みたいな剛士は、今まで離れていた手をギュッと握った
「もお、いーや!ボキらしくいくわ」
スタスタとバイクまで引っ張られるように歩くと、ヘルメットを私に被せ何か吹っ切ったみたい
「どこ行くの??」「えー!?」
「どーこーいーくーの!!」
「なーいしょ♪」
切り替えの速さは天下一品
さっきまでの落ち込みようが嘘のようにぶんぶん飛ばして何処かに向かってる
華奢な体も後ろから掴まると意外と大きかったり、彼女だから知れることなんだと思うと思わず頬が緩む
「なに笑ってんのよ?」
「なーいしょ!」
「あ、マネしたー」
「してないよー 笑」
友達の時と変わらないふざけた会話だけど体も心も距離が近いだけで、こんなにも変わるんだ
「着いたあー!!」
数十分走ったところでバイクを止めた場所は
「…バー??」
「見た目はね 笑」
苦笑気味に入っていく剛士の後をついて中に入ると、本当に見た目はバーなんだけど料理やら店の雰囲気は全然違う
案内された席は窓側で窓の外には海が見える
「よくそこで釣りしてちょこっと寄んの
こっからの景色が好きでさ〜」
今はちょうど日の入り前
夕日で海はグラデーションになっていた
「綺麗、だね」
「だしょ?穴場なのよ、ここ!」
海なんて久しぶりで、剛士が注文してる時もずっと見とれていた
料理もちゃんとしたセットになっていて美味しいし、釣りの話や仕事の話、色々話してくれた
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