運命があるなら
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中学2年目の夏
去年の夏から1年
色んな変化が訪れていた。
あたしと雄ちゃんは初めてクラスが離れ、夏希とも離れた。
唯一同じになれた直樹もだいぶ人気が出てしまって、一緒に居づらくなった
でも新しい友達もできたし、クラスの雰囲気も悪くない。必然的に男女で分かれちゃうのも仕方ないかなって思ってる
みんな部活で忙しいけどたまに集まって昔みたいに遊んだりもしてるし、変化があってもそれなりに楽しんで過ごしてた
「たけちゃーん、ここ難しい…」
「仕方ないでしょ、シオリの指短いから」
「手が、小さいの!」
夏休みが始まって2週間
8月になって更に暑さが増した外に対してクーラーで冷やされた部屋で月に2回程あるたけちゃんのピアノレッスンを受けるあたし
「シオリちゃん、どんどん上手になっていくわねぇ」
「そうか?ボキにはわかんないなぁ」
「ひっどい!これでも頑張ってるの!」
普通なら人の家でピアノを借りて音大生のたけちゃんに教えてもらうなんてただで出来ることじゃないのに
上地家の人達はみんなよくしてくれてたけちゃんも妹のように面倒見てくれてる
「雄ちゃん、そろそろ帰ってくるかなぁ」
「そうねぇ、もう帰ってくる頃かしら…。先にご飯食べちゃう?笑」
「いやいや、待ってます!笑」
だから、最近では野球で忙しい雄ちゃんが帰ってくるまでピアノを弾いたりお喋りしたりして夕飯までご馳走になるまでの甘えっぷり
“ただいまー!”
「おかえりー、」
こんな事いいように幼なじみの特権を使ってる気がして、たまにほんと雄ちゃんファンに申しわけなくて胸が痛む
けど、あたしだって若干の焦りがあるわけで…
「あぁーさっぱり〜♪」
「雄輔真っ黒だなぁー、シオリと並ぶとオセロみたい!」
「しゃーないでしょ!ずーっと外にいんだもん」
「日焼け止め塗ればいいのに」
「あんなん無意味!てかめんどーい」
今日も帰ってきてすぐにお風呂に直行し10分位でみんながいるテーブルに着いた雄ちゃん
いつの間にか隣に並べば頭一個分大きくなって肩幅もまた一回り大きくなった気がするし、Tシャツ短パンから伸びる腕とか足とかあたしのとは違いすぎる
意識しだして初めて雄ちゃんが男っぽくなっていくのに気付いたから、ズルイと分かっていても側に居ておきたい
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