□君だけの愛の言葉
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「でね、でね!!めちゃんこファンの子が並んでてくれてて、こんなによ!?」


テレビでやってる自分の握手会のニュースに、手振り身ぶりで解説しながら話す剛士。



「もう嬉しくって、ボキ登場してすぐ泣きそうになってんの(笑」




あたしの隣に座ってる剛士がテレビに映っているつるの剛士を指差して

「恥ずかしっ」

とかぼやきながら観てると、映像が握手中のものに変わった





感動して泣いてる子や小さい子、本当に嬉しそうに一人一人と握手する剛士。


要望があれば“ダイナ”にも“羞”にもなって、改めて剛士の人の良さが彼女として誇らしくなる







でもね?

それと同時にちょっぴりモヤモヤがあたしを襲うんだ




「でさー、中には羞恥心カラーのつなぎ着てる子もいて――」




ハイテンションで喋っている剛士の声をうっすら耳に入れながら
誇らしさとモヤモヤの間であたしはテレビを見つめていた






「…!――シオリ?シオリ〜???」


「―えっ?あッごめんね……なに??」



呼ばれていることに気づいて剛士の方を見ると


随分呼んでいたらしく、「もー聞いてなかったの?」って口を尖らせながら膨れている


やばい、拗ねちゃったかな…


機嫌を治そうと「ごめんね」を繰り返していると


―ぐにっ


「へっ!?」

「シオリは、なに悩んでたの??」


口に溜めていた息を出したと思ったら、突然親指と人差し指であたしの眉間を伸ばした


「ここ力入ってシワできてた」




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