ギアス
□リフレインはいつまでも、
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俺の名前は『ルル』、社会福祉公社所属の第2期型義体XB11-04、
自分自身の情報は限りなく少ない、断言できる情報はこれだけだ。
「ルル、今日は射撃の訓練だ」
「はい、スザク様」
かれの名前は枢木スザク様、俺の担当官。
やさしいひと、時々照れたようにわらう顔がすきだ、小動物にきらわれやすく、いつも困ったように笑う。
ひっかかれたところを撫でる指先があたたかそうで、触れてみたいとおもった。すきだ。
「ルル、うまくなったね」
「……ありがとう、ございます」
かれは時々、俺をみつめながら俺ではないひとに話しかけている。
ルル、そう名前を呼びながら誰をおもっているのだろう、俺をだれにかさねているのだろう。
そしてかれはときどき彼は俺の名前ではないひとの名前をよぶ。それは俺の名前によく似ていた。
ちがう、俺の名前がそのひとの名前に似ているのだ。
ああ、義体のくせにこんな気持ちになるなんて。おこがましい、間違っている。
どろどろとしたものが胸の奥で育っている。胸を切り裂いて、そんなもの摘み取ってしまえたらいいのに。
「スザク様、ここはどうやって…」
「スザクでいいよ、様づけされるような高貴な身分ではないよ」
にっこりと彼はわらった、やさしい春の風みたいなえがお。だいすきだ、すきだ。
義体なのに躰がいうことをきかない。ぽろりと、眸から何かがこぼれおちた。
ああ、もうだめだ。自分の思い通りに躰がうごかない。役立たずの義体。
かれのためになれないなら、しんでしまいたい!
「ス、ざく…」
頬をつたうものはいまだ止まらない。
びっくりとして目を見開くかれを少しでも安心させれればとおもって、無理矢理笑顔をつくった。
かれははっとしたように息をつめた。ああ、胸の奥がきもちわるい。そしてかれはあの名前をくちにする。
「ルルーシュ、」
くそったれ、そうこころの中で毒づいた。
リフレインはいつまでも、
(まるで睦言のようにかれはつぶやくのだ)
>>to be continued.
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