ギアス
□メランコリニスタ
1ページ/1ページ
09:メランコリニスタ
生き恥ともいえる格好になった俺は、これ以上抵抗するともっと悲惨な目にあうと思い、
とうとう抵抗をやめることにした。
実際抵抗したところで何ともないのだろうけど。
「じゃあ体洗うね」
「ああ…」
そう言ってスザクはボディソープのノズルを俺に向けた。
まさかと思ったが、奴はそのままそれを押した。
乳白色の液体が俺へと襲う。
「う、わっ!」
「る、ルルーシュ!!」
スザクもまさかこんな事になるとは思ってもみなかったらしく、慌てた様子だった。
こういう考えなしな所は昔から変わっていない。
「ごめんね、大丈夫!?」
「……今度からは手に一度とってからにしてくれ」
「はい、ごめんなさい」
とりあえず体にかかったボディーソープを肌にこすりあわせ、
泡を作っていく。
なんだかんだ言っても、本当は体を洗いたくてたまらなかったのだ。
だけれど、もこもことした泡が異様に大きくて、俺は泡で溺れる危険性を考えた。
「ルルーシュ、僕が…」
「洗わなくて結構」
スザクにやらせたら、また変な所を触られたりするかもしれない。
きっぱりと断ると、スザクは残念そうに俺を見下ろした。
*
その後、シャンプーなどもして抵抗のあったカップ風呂も経験して、
さっぱりした俺はまたティッシュを巻いている。
今度は数枚重ねだ。
これなら溶けまい。
「ルルーシュ、ちょっと立って」
「ん」
俺をたたせたスザクは俺の隣に定規を置いた。
俺の身長を測るらしい。
「……10センチ」
「馬鹿な!」
成長期に入ってからは悩むことのなかった身長問題に俺ははじめてぶつかった。
10センチってなんだ!
チビ、と罵られても何も言えないじゃないか。
「……でも僕よりルルーシュが小さいなんて、
ちょっと嬉しいかも。いつも僕が小さいから…」
「そんな、あんまり変わらないじゃないか」
「うん、でもちょっとだけ。なんか嬉しい。
ごめんね、不謹慎だよね」
へへへ、と笑うスザクの笑顔がやさしくて、
俺はやっぱりこいつがすきだと思った。
小さな事だと俺が思っていてもあいつにとっては大きな事で、
それを少しでも叶えてあげられたのはなんだか嬉しかった。
こんな形で、だけど。
でもとりあえず、
「スザク、お願いがある」
「なに?」
「服を買って来い」
「はあ!?」
なんだ、俺にずっと素っ裸でいさせるつもりなのか。
それとも原始人ティッシュバージョンが気に入ったのか?
俺は大変気に食わないがな。
「それって…、人形のって事?」
「そうだろうな、というかそれしかないだろう」
「ムリムリ!だって僕もう17歳だよ!?
そんなの買ったら変態だよ!」
「だったらお前が作ってくれるのか」
「うっ」
「出来ないんだったら、よろしく」
そう言い放った時の、主人にすがる犬のような顔が
すごく笑えたのは秘密だ。
To be continued.
・