ギアス
□いとしきみへ
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入学二日目でさらに昼休みという時間でざわつく教室内。
真新しい制服に身を包んだ初々しい新入生達は、いまだ高校生活には慣れていないようだ。
中にはもうすでに何年もいたかのように慣れてしまっているものもいるが、それはその人の要領のよさだろう。
スザクはどちらかというえばまだ慣れていないほうであった。
スザクの中学校からは彼以外に数人このアッシュフォード学園にきているが、皆バラバラのクラスに別けられている。
知っている人もいないこのクラスで、スザクはぽつんとひとりだけ椅子にすわって外をみていた。
窓際の一番い後ろの席、初めからとてもいい席だとおもう。
(さっきの体育、たのしかったな。あれくらいなら、普通にできるし)
入学早々の体育は簡単なものばかりで、特に疲れるようなものではなかった。
だからスザクも参加できたのだ。この、ポンコツな躰でも。
昼休みを楽しもうと自分の鞄から昼食を出そうとしたとき、ふと暗くなったような気がして顔をあげる。
「なに?かわいいこでもいた?」
「リヴァル…」
茶化すようにスザクの肩をたたいて、前の席へと座る。
彼はスザクがこの学園に入ってはじめての友達だった。
彼は前者で、もうすでに学園生活に慣れたようだ。
「おまえさ、なんか部活とかはいる?」
「うーん…、たぶんはいるんだったら文科系かな…」
「マジ?おまえめっちゃ体育系な感じするのに…。さっきの体育の柔軟でも超やわらかかったしさ」
「普通だって」
普通の奴は180度に脚が開いたり、ぺったりと床に胸をつけられたりしません!とリヴァルがチョップをいれてくる。
それに笑いながらよけた瞬間、
「スザク!!」
教室のドアがけたたましい音をたてて勢いよく開いた。
その音にクラス中の視線がそこへと注がれる。
その視線を一身にうけるその人物はおくびることなく、ズカズカと入り込んでくる。
「…ルルーシュ」
スザクがぽつりとその人物の名前をよんだ。
すらりとした長身に細い肢体。処女雪のような肌理細かい肌。すっと通った鼻先。長い睫におおわれた触れることを躊躇させるほどの美しさをもつ
アメジストのような眸。すこし薄めの唇、整った柳眉、胸あたりまで伸ばされた細く柔らかそうな髪が歩くたびにゆれる。
すべてのパーツが、巧妙な芸術家につくられたかのようにうつくしく整っている。
それが集まっても、濃いかんじもせず、嫌味な感じもしない。存在するのは恐れるほどのうつくしさだけ。
絶世の美少女に教室内の全員が息をのんだ。
だけどその美少女はすこし怒ったような顔で、そして大股でずんずんと教室内の一点をめざして歩いていく。
そして窓際の一番後ろの席…スザクの前までくると手を机にたたきつけた。
その剣幕にリヴァルはびくりとして思わず目をつぶってしまった。
だけどすぐに目を開ければすぐそこに神の芸術品のごとく光る(ようにみえる)ルルーシュの顔のアップがあってリヴァルは、
思わず見惚れてしまう。
その様子にスザクは面白くなさそうな表情をしたが、射るようなルルーシュの視線はスザクに注がれている。
気だるさを装って、ルルーシュをみれば彼女はすこし傷ついたような顔をした。
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