ギアス

□ドリーム・メカニック
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***


スザク様のこえがする…、笑い声だ。
でもこれはきっと夢だ。なぜなら俺はかれのこんな笑い声を聞いたことがない。



「ルル×××、だいじょうぶ?」
「うるさい…!」
「もう、本当に体力ないんだから…」
「おまえと一緒にするな、体力馬鹿!それに誰のせいだと…っ!」
「うん、ごめんね」



白いシーツが波のようにうねっている。
それに寝転がる俺とスザク様。
夢だ、俺は体力がないほうではないし(むしろ普通の何倍もの体力がある)
スザク様に対して、こんな乱暴な言葉はつかわない。
それにスザク様は俺に対してこんな笑い方はしない、こんな笑顔はみせない。




「ルル×××…!ルル×××!!」



ああ、世界がまたかわった。今度のスザク様は声を荒げている。
めずらしい…、というより俺はみたことがない。
見たことのない、見たことのない、すべて、見たことのないあのひとの姿。


「スザク……?」
「しっかりして!ルル×××!!」
「…おまえ…ぶ、じ……?」
「ルル……ルル×××…、」



ああでもこれは一緒だ、俺の手は真っ赤にそまっている。
その汚い手でスザク様の頬をなでる、それはしたことがない。イライラする、そんなことしないで。
ああ、ちがった。あれは自分の血だ、だけど俺はあんなに沢山の血を流したことなんてない、じゃあ、あれは、これは。


…おまえ、だれだ?





***


「ルル君、おきて、」
「……おれ、は……う、あ……」
「おーめーでーとー、検査はしゅーりょー!帰っていいよー」
「……っ」



ぼんやりとする視界のなか、ドクターの声がきこえる。
つぎからつぎからとあふれてくる涙をとめることができなくて、
でも自分がどうして泣いているかさえもわからない。
何かをみていた気がするのに、それも思い出せない。
胸がいたくていたくて、なのに痛みの意味も思い出せないなんて。
でもどうしてだろう、あのひとに会いたくなった。
スザク様に、あいたくなった。




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