幻想小説 U

□52。
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愛しいという感情を痛い程知った。
縛られ続けた力に初めて感謝した。

全てはあたしの行動から始まり、
全てはあたしの我が儘で幕を閉じる。


「傍に置いて。」


甘い響きを帯びたその声が思い出される。


「ラジアちゃん。」


あたしを呼ぶ声だけが。

世界の中心があたしではなくなる様、
あの蒼い瞳がしあわせに滲む様、
それだけを願った。
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