幻想小説 U
□56。
1ページ/5ページ
目が覚めれば、あたしは宿屋のベッドにいた。
のそのそと起き上がり、痛む頭に顔をしかめながら、煙草に火を点け窓を開ける。
目の前には、近くて遠い朱い月。
煙を吐き出し、それを滲ませてやった。
「おはよう、ラジア。」
背後の声に振り向けば、金髪碧瞳の腹黒魔術師がへらりと笑ってそこにいた。
「プライバシーの侵害だから。」
あんたもアレックスも。
そう思ったが、そこまでは言わなかった。
言ってやりたいのは山々だが、とりあえず後がこわい。
→
次へ
[
戻る
]
[
TOPへ
]
[
しおり
]
カスタマイズ
©フォレストページ