幻想小説 U
□32。
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人は、素直に生きるのが多分、一番いいんだと、あたしは思う。
だけど。
あたしは、素直のなり方を、忘れてしまった。
「…本人に聞いてみないと、あたしからは何とも。」
「そうか。ぜひ、考えてみる様、伝えてくれ。」
「…はあ。」
軽く一礼をして、部屋を後にする。
何だかなー。
そんなことを思いながら、宿屋の廊下を歩いていた。
「ラジア。」
振り向けば。
そこにはカゥゼが、壁に背をもたれ、何故かあたしを睨んでいた。
あたしは軽く、肩をすくめるしかなかった。