幻想小説 U
□39。
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これは、ラジアにとったら数ある中の勝負の一つ。
イメルダにとったら、我が儘から始まった勝負の一つ。
そして。
リザにとったら、人生の大勝負。
目を見れば解った。
この子は、賭けている。
ラジアに近付きたくて、ラジアの傍にいたくて、ラジアをもっと知りたくて、
もっともっと、
愛したくて。
たった52枚のカードに、その全てを賭けるつもりでいるのだ。
すごいな。
素直に、そう思った。
余りのひたむきさに、軽く目眩がしそうになった。
羨ましいのだ。
あたし達が忘れてしまった、体現するということを素直にやって退けるリザが。
「…ふふ。」
そうして、それぞれ大なり小なり思いを賭けた勝負は、幕を開けた。