幻想小説 U
□42。
1ページ/5ページ
バスタブから時々溢れる白い泡。
鼻を掠める甘い匂い。
耳を掠める上機嫌な鼻歌。
朱と白のコントラストに、思わず目を細めた。
「シャンプー、どれがいい?」
「どれでも。洗えればいーのよ。」
あの後。
俺の究極のニ択に、ラジアちゃんは暫く考えてから、こう応えた。
『バスルームに入ることは許可する。』
つまりは、一緒には入らないってこと。
本当はやりたかったんだけどな。
けど、これでも俺はすごく嬉しかったりする。
目の前で泡だらけのバスタブに浸かるラジアちゃんに、俺が髪を洗ってあげる。
ラジアちゃんは外見に執着がない。
シャンプーとかは、いつも適当なやつを使ってたりする。
駄目だよ。
勿体ないと思う。
無駄に沢山陳列されたシャンプーに目をやって、一つを手に取った。