幻想小説 U

□44。
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「久しぶりねー、ビーチェ。」

「相変わらずだね。」

「相変わらずはあんたよ。こんな暗がりで。」


盛大な溜め息と共に、見事な銀髪が揺れた。

ずかずかと上がり込んで来た彼女は、どかっと椅子に座ると、あたしの目の前の水晶を覗き込む。


「また覗き見?」

「相変わらず失礼だね。」


隠されていない右の紅い瞳を細め、彼女は面白そうに笑んだ。


「ルシアに固定手錠を売ったのは、あんたかい。」


手をかざして、水晶にアリアを映す。

目隠しをされ、なおも繋がれたままの肢体を。


「あいつは変態だけど、上顧客だからね。」


彼女の言葉に、連れの金髪が軽く笑った。
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