幻想小説 U
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「…ぼんやりしないでよね。」
そう言って笑った彼女の朱が、一面に舞い散った。
「…で?」
ラジアちゃんはレックスに問い掛ける。
「で?って?」
レックスは先程露見した過去の過ちからか、軽く目を逸らして応えた。
「血界石よ。あんたしか気配解んないでしょ。」
今度はカゥゼが、呆れ気味に続ける。
この国を絶対防壁で守る血界石とやらは、レックスしか気配を掴めない代物らしい。
ラジアちゃんもカゥゼも、スピカだって、相当な魔力を持つのに。
俺はそこら辺の事情が掴めず、一人首を捻った。