幻想小説 U
□31。
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彼、クラチカは、どこぞの貴族の息子だった。
ラジアは、それを知らなかった。
勿論、あたしもリゥゼも、情報屋のカゥゼでさえも。
あれは、仕事だった。
国からの"裏"の依頼だった。
解っている。
解っているけれど。
けれど。
だからこそ。
「…リザ・レストルは、駄目なのよ。」
自分で夢を手離したラジア。
永きを彷徨うあたし達に、二度目はない。
あたしもカゥゼも、
手に入れることが出来ないのに。
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