幻想小説 U
□34。
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「…おはよう、ラジアちゃん。」
眠たげな瞼をこすりながら、リザはあたしに抱き付いて来る。
いや、それ所じゃないから。
「オフィリアが見てるから。」
引き剥がそうと試みるものの、寝起きとは思えない位、リザはがっちりとあたしを抱き締めていた。
「…ちょっと。」
軽く睨み付けて、顎で合図をする。
漸く、リザはオフィリアの存在に目を留めた。
「…おはようー。何でいるの?」
それは同感。
人の部屋に、無断で入るとはね。
金でも払って、宿屋の主人に鍵でも借りたのだろう。
オフィリアの右手には、しっかりと、この部屋の鍵が握られていた。