幻想小説 U
□36。
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お父様から、リザを手に入れるのは無理だと聞いた。
何で?
今まで、欲しいものは全て与えてくれたのに。
何で、リザは無理なの?
初めて本気で、
好きになった人なのに。
「…ねえ、リザ。」
「何?オフィリア様。」
今日もリザを連れ出す。
あたしの特権で。
お金を払っている訳ではない。
誘えば、リザは付いて来てくれる。
「…お父様から、聞いた?」
凄くその一言に、緊張した。
絞り出した様な声は、微かに震えた様な気がした。
歩く度 綺麗に、
小刻みに揺れる銀色。
見上げれば、リザは柔らかく笑っていた。