幻想小説 U

□36。
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「聞いたよ。」


リザは短く応えた。

いつもの会話と、まるで変わらない様に。

胸が、ちくりと痛んだ。


「…何、で?」


あたしじゃ、駄目なの?

そこまでは言えなくて、軽く、唇を噛んだ。


「んー言わなきゃ駄目?」


少し困った顔をして、その蒼があたしを見る。
綺麗で。
銀色も、蒼も、
リザの全てが、余りにも綺麗で。
あたしは思わず、息を飲んだ。

言いたくないのは、優しさだろうか。

それとも。

そこまで考えて、それでも欲しいと思った。
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