幻想小説 U
□38。
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「…勝負って。」
明らかにうんざりしたラジアちゃんをちらっと見る。
ラジアちゃんには、楽しくて仕方ない時が幾つかある。
賭け事をしてる時。
賭け事に勝った時。
お金を巻き上げる時。
食べている時。
酒を飲んでいる時。
今は正に、最後の項目に当てはまる訳で。
どうせなら、俺といる時も含まれてたらいいんだけど。
多分、それは無いんだと思ったりする。
切なくなって、ラジアちゃんの腕にぎゅうっとしがみついた。
「…あのね。」
「何ー?」
「…現状を理解してんの?」
視線を上げれば。
俺を見下ろす呆れた黒とぶつかった。