幻想小説 U
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備え付けの灰皿に、煙草を捻消した。
バスタブにシャワーで湯を張りながら、脱いだ服を適当に放る。
後でリザに片付けさせよう。
「また脱ぎ散らかしてるー。」
思わず、眉根を寄せた。
「…今日は赤だったんだねー。ラジアちゃんにはやっぱり赤だよね。」
振り向けば。
いつの間にいたのか、にこにこと二日酔い知らずな銀髪と蒼瞳が、そこにはあった。
いつからいた。
相変わらず、無駄に気配を消すのが上手い。
気付かないあたしも、どうかと思うが。
「…出てけ。」
「やだー。」
静かに扉を閉めると、リザはそのままあたしに抱きついてきた。
「…あのね。」
「…やだー。」
何なんだ。
胸に顔を埋めて、丸くなったリザの背中を軽く撫でた。