幻想小説 U

□41。
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よくよく考えれば、悲鳴の一つも上げてよかろうものだが。
まあ、今更ではある。


「…何。」


空いた手で銀糸を梳けば、指間からするするとそれは落ちていく。

リザは、あたしより随分と大きくなった。
身長なんてとっくに越えてしまったし、体も逞しくなった。
なのに。


「…甘えたな所は、変わらないのな。」

「…ラジアちゃんにだけだよ。」


屈めていた背を伸ばし、あたしの頭上から蒼が見詰めた。

優しく細められた蒼と、視線がぶつかる。

あたしは今、どんな顔をしているだろうか。
冷静だけれど。
今は、まだ冷静でいられるけれど。


「…もう一度、抱き締めてもいい?」


あたしの応えを聞く前に、口付けを落としてから柔く抱き締められた。

聞いた意味が、まるでない。
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