幻想小説 U
□42。
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「ラジアちゃんは、これだねー。」
「…ふうん。」
俺が選んだシャンプーを大して興味なさそうに一瞥してから、また、鼻歌を歌い出した。
選んだのは、ローズシャンプー。
綺麗で朱くて、棘がある。
惹き付けるのに、触れることを許さない。
ラジアちゃんみたい。
蓋を開ければ、湿気と混ざって広がる匂い。
少しだけ、切なくなった。
「…煙草、吸う?」
「持って来て。」
「…うん。」
脱衣場から、ラジアちゃん愛煙の煙草を持って来て、手渡した。
「よく出来ました。」
火を点けて、ラジアちゃんが笑った。
狡いよ、それは。