幻想小説 U

□43。
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薔薇の匂いが、鼻につく。
煙草の匂いと混じり合う。
思わず、顔をしかめた。


「…ラジアちゃん。」

「…何。」


振り向きはしなかった。
今、リザはどんな顔をしているだろう。


「…ごめんなさい。」


リザの抱き締める腕に、力がこもる。

後悔してるんだろう。
聞いてしまったことに。

煙が揺らめく。
ゆらゆらゆらゆら。
消えない思い。
消えない罪。
それでも、三百年はあっという間で。


「…知りたい?
クラチカのこと。」


あたしの呟きに、リザが僅かに動いた気がした。
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