幻想小説 U
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「…どうしてだい?」
何故。
ルシアに手錠を。
「…どうして?」
聞き返した彼女は、余りに綺麗に笑った。
「叶えたい夢をあたしが止める権利なんてないわ。」
叶えたい夢。
叶えたい願い。
それは、余りにも甘美な響きを帯びて。
わかっている。
それは、誰も止めることの出来ない、止められない、永遠の願い。
「そろそろ行くわ。」
立ち上がり、あたしを見る右のみの紅と、視線がぶつかった。
「…マリーウェイの所かい。」
「そう、呼ばれたの。」
「またね、ビーチェ。」
銀色に続く金色が、振り返り様に軽く揺れた。