幻想小説 U

□44。
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「…どうしてだい?」


何故。

ルシアに手錠を。


「…どうして?」


聞き返した彼女は、余りに綺麗に笑った。


「叶えたい夢をあたしが止める権利なんてないわ。」


叶えたい夢。
叶えたい願い。

それは、余りにも甘美な響きを帯びて。

わかっている。
それは、誰も止めることの出来ない、止められない、永遠の願い。


「そろそろ行くわ。」


立ち上がり、あたしを見る右のみの紅と、視線がぶつかった。


「…マリーウェイの所かい。」

「そう、呼ばれたの。」

「またね、ビーチェ。」


銀色に続く金色が、振り返り様に軽く揺れた。
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