*Le soleil*
□ひとりじめ
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楽屋で２人きりになると、大体いつもアドリブの話。
あーでもない、こーでもない。
そんな時間を楽しむ時もあれば、言い合いになったりもして。
「ねー、今日のアドリブどうする？」
「あれ、もう打ち合わせはせんて言うてなかった？」
「ちょっとネタがねー」
「いっぱいあるって言うてたのに」
「ありすぎて悩んでるの」
「んー･･･私は気分的にはサザエさんかなぁ」
「何それ。どんな気分」
「やからサザエさん」
「それなら、私はメグちゃんかなー」
「あかん。チカさん、それやりすぎ」
「別にいいじゃない」
「見た日が、全部メグちゃんやったって人がおるかもしれんやん」
「それはそれで、ラッキーな気が」
「えー」
「ていうか、ゆみこ」
「何？」
「タメ口、禁止」
「えーーー！」
「もう私も一つ大人になったんで」
「タメ口を強制してきたのはチカさんやもん！」
「よかったねー、もうしなくていいんだって」
「やだ！」
「やだって･･･」
「頑張って慣れる」
「頑張んなくていいよ」
「や」
「･･･頑固」
「!!･･･チカさんが悪いんやもん」
今日は、どうやら言い合いの日らしい。
しかも私のせいらしい。
あんなに照れてたタメ口を、やめたくないって言い出すゆみこの思惑は何？
「タメ口やめないって言うんなら、まずは名前からどうぞ」
「えっ」
名前を呼び捨てにって言っただけで、照れるくせに。
で、ドギマギしては、なかなか呼んでくれないくせに。
「チ、･･･」
「え、何？よく聞こえない」
「う゛ーっ･･･」
「名前すらムリなんだから、タメ口はやっぱり禁止」
「〜っ使うもん！譲らへん」
「･･･頑固」
ファンの方の前でも公言したんやから。
と、ぶつぶつ言ってるゆみこの言葉に思わずツッコミを入れてしまいたくなる。
何を公言してるんだか。
「タメ口やめません！」なんて公言して喜ぶファンがいる？
･･･やっぱりツッこんでおくか。
「ねぇ、ゆみこ」
そう、顔をゆみこに向けたら。
目を軽く潤ませて、きゅっと唇をかんでいる。
「え」
「･････」
「何で、ちょっと泣きそうなの」
「、、チカさんが、悪いんやもん」
何かよく分かんないけど
どうやら私が悪いらしく、私が泣かせたらしい･･･。
ホント、女の子って難しい。