*Le soleil*

□ライバル?
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「ねぇ、これって嫌がらせかな」



チカが携帯画面を向けてきたので、じっと見てみると。

画面には、蕩けそうな笑顔で映る佐野さん姿のひろみと
きりっとしつつも爽やかに笑う、眼鏡執事姿のゆみこが映っていた。
眼鏡のツルを持ってポーズを決めるあたり、ゆみこのサービス精神が感じられる。



「それ、どうしたの」

「ひろみからメールで送られてきた」

「欲しいって言ったの?」

「言うと思う?」

「じゃあ、嫌がらせだわ」



少しご機嫌ななめになったのか、携帯を見つめつつお菓子を食べている。



「あ、チカさんおったー」




タイミングがいいのか、悪いのか。

ニコニコ顔でチカの隣に行こうと向かっている、ヤキモチ妬かれてるお嬢さんが目の前を通り過ぎていく。



「探してたんですよー」



嬉しそうに隣に座るけど、チカは携帯をパタンと閉じると立ち上がって



「・・・チカさん?」



私の反対側の隣に座りなおした。

ゆみこは、きょとんとして訳が分からないという感じだ。

要するに、ゆみこから離れたいっていう意思表示なんだろう。



「探してたって何で」

「え、、何でって」

「何か用事」

「用事ってわけじゃ・・・何で、こっち見てくれんのですか」



チカの姿は、私によって隠されているわけで。

というか、勝手に隠れられてしまってるわけで。

あー・・・もしかして、巻き込まれたかも?

こういう時は逃げないとね。

ケンカするなり言い合うなりは、どうぞお2人で。




「あ、私先に行ってるわー」




すくっと立ち上がって、速やかに出て行こう。

と思ったけれど、それは叶わなかった。




「チカ・・・シャツの裾、離してほしいんだけど」

「・・・」



ぐいっと引き戻されて、また座らされる。

すると、またヤキモチ妬かれてる(とは知らない)お嬢さんが私の目の前を通り過ぎて
私の隣に座ってるチカの隣に座りなおした。

まぁ・・・さっきみたいに、2人から挟まれるよりはマシか。




「私、何かしました?」

「・・・手、離して」



ゆみこがチカの手を掴んだらしく、
拗ねた顔のまんま抗議を訴えている。



「じゃあ、チカさんもハマコさんの手を離してくださいよ」




そのチカは、私の腕をがしっと掴んだままで。
この状況で1人にしてほしくないのか、逃がさないとでも言いたげに力を込めてくる。




「・・・何してるんですか?」



怪訝そうな顔で、ひろみが入ってきた。

3人くっついて、それぞれが顔を左方向に向けていたら。確かにおかしい。



「元はといえば、あんたが発端」

「え?」

「チカに写メ送ったでしょ」

「あー♪カッコイイゆみこさんを形に残せたんで、お裾分けを」



それが余計なんだって。

ヤキモチ焼きだって知ってるくせに、肝心なところを解ってない。



「写メ?」

「ゆみこが大好評をうけてる眼鏡姿だよ」

「あ、こないだひろみと撮ったやつ?」

「そうです♪それを今日、チカさんにも送ったんです」



チカの顔は相変わらず拗ねて・・・ない?



「ありがとう、ひろみ。大事に保存しといた」



ニコッと笑って立ち上がると、また私の空いてる方の隣へ座りなおす。

チカが立ち上がった勢いで、つい手を離してしまったゆみこも、とうとう拗ねた顔つきに。



「え、と・・・その写メがどうかしましたか?」

「この2人のイザコザに、私が巻き込まれる発端となったわけ」

「えー、単なる2ショットですよ?」

「ゆみこに関わる全てに妬く人だから。ね、チカ」

「ちが」
「違わない」



いい加減、脱出させてもらわないと。
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