*Le soleil*

□素顔の自分
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全国ツアーが始まったと思ったら、もう佳境に入ってしまった。

舞台に立つと、本当にあっという間だなぁ。

でも、確かに疲れも出始めているから
ハードスケジュールをこなしてきたんだと実感もあって。



「だからね、今日はやめといた方がいいかなって」

「・・・って、ミズナツキさんは言うんですか」

「うん」

「警告サイン出してる?」

「そこまではいってないけど・・・きょうは我慢しとけって」

「チカさんはどう思う?」

「私はいつでも同じ気持ちだから」



目の前のゆみこは、うーんと首を傾げて悩んでいる。



「向こうに帰ってからでも出来ることだしね」

「そう、やけど」

「アヤブキさん的にはどうなの?」

「・・・やめとけって」

「ほら。じゃあ、やめとこっか」

「でも」


前、一緒に回った時とは違うコースだから
思い出はまた違うものだ、とゆみこは主張する。



「じゃあ、ゆみこは私と同じ気持ちなのか」


こくり、と頷かれてしまう。

そのままふわり、とキスをされた。



「・・・ちょっと」

「ええもん、アヤブキさんにはちゃんと話しとくから」



やめとけって言われても、ほしくなってしまうものは仕方がない。


目の前のほわほわのふわふわさんを、抱きしめるたびに思うこと。



「話をするだけで、アヤブキさん許してくれるの」

「たまに怒られるけど。ナツキさんは?」

「しょっちゅう睨みあい」

「・・・でも、譲れんもん」



欲張りな2人の、ちょっとした時間の使い方。


一緒にいられるだけで、幸せだけれど。

やっぱりね。

どうしたって、触れていたくなる。



ミズナツキさん、今日もお疲れ様でした。

アヤブキマオさん、今日もありがとうございました。


お疲れのところすみませんが、

本名の私とゆみこに、幸せな時間をください。


そう心の中で言い訳をして、

ほわほわのふわふわさんを、この腕の中に閉じ込めた。




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