*Le soleil*

□未来
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「ちょっと、今年1年を振り返ってみようかと」


そう言って、チカさんが何かの紙を持ってやってきた。


「今年になる瞬間をどこで何をしながら迎えましたか?」

「チカさん家でお蕎麦食べながら」


「今年1年の目標は何でしたか?」

「えーと、関西人な自分をさらけ出すこととチカさんと出来るだけ一緒にいること」


「その目標は達成できましたか?」

「うん、関西弁でいっぱい喋ったしチカさんも独り占めいっぱいしたし」


こういうことで照れるチカさん、見るの好き。



「今年1番嬉しかったことは何ですか?」

「えー、いっぱいあるけど・・・誕生日にライブできたことと、ファンの方にお祝いしてもらえたこと」

「あれは嬉しかったよねー」

「うん。夢やなかった」

「ね、泣いたね」

「幸せな涙を流せるって、幸せ」


チカさんとも、一緒に誕生日を過ごせて嬉しかったな。


「今年1番楽しかったことは何ですか?」

「雪組で過ごした全部」

「今年1番自慢したいことは何ですか?」

「キムのモノマネが似てた」

「そこ?」

「雪組でちょっと流行らしたもん」

「今年1番恥かしかったことは何ですか?」

「・・・サンバステップ」

「根に持ってるね」



「今年1番自分を褒めたいことは何ですか?」

「えー、何やろ。お休みなしで頑張ったことかなぁ」

「うん、頑張ったね」


こうやって頭撫でてもらえるんやったら、もっと頑張っちゃいたくなるけども。



「今年1番自分を叱りたいことは何ですか?」

「え、別にない」

「きりやんから苦情のメールもらったけど」

「きりちゃんから?」

「ゆみこが、チカさんチカさんうるさいんですって」

「えー、そんなん言ってない」

「チカさんとどこ行ったーやら、何食べたーばっかりだったらしいね」


チカさんは携帯を見ながら、きりちゃんからのメールを読み返しているみたい。

送ったメール、そんなチカさんばっかりやったかなぁ。


『自覚ないんが一番タチ悪いわ』


・・・どっからか、きりちゃんの声が聞こえた気がした。


「今年になって何か変わったことはありますか?」

「んーーー・・・愛情表現」

「あー、確かに」


前より、よく好きだって言ってくれる気がする。

とチカさんに批評されると、ちょっと恥ずかしい。


「今年1番観たTV番組は何ですか?」

「スカイステージ」

「年々オタク化してるのは気のせい?」

「勉強です」



「今年作った手作りのものって何ですか?」

「え、肉じゃがとか」

「違う。あれはじゃがじゃがだった」



「今年の夏休みは何して過ごしましたか?・・・この質問ケンカうってない?」

「うってる」



「今年のクリスマスは何して過ごしましたか?」

「チカさんと東京でちょっとスイーツ堪能して、トウコさんのコンサート行った」

「ライブ楽しかったよね〜」

「トウコさん、カッコよかった」

「東京のイルミネーションも綺麗だったし」

「何か去年より思い出が豪華やったかも」

「・・・2人きりのお好み焼きは不満だったわけ?」

「や、そういう意味やなくて」

「あーそう」

「誤解やってば〜!」



「今年になって生まれて初めてしたことってありますか?」

「・・・たこと」

「え?」

「・・・カ・・・びしたこと」

「何、聞こえない」


嘘ばっかり。ニヤニヤして見てるくせに。


「チカ呼びしたこと!」

「わー、久々聞いた」


なんでそんな嬉しそうに言うかなぁ。
そんなに呼んでほしいもんなん?



「呼び方もだけど、呼んでる時の顔が見たいの」

「何で?」

「照れてて可愛いから」


ライブの時はあんなに嬉しそうだったくせに。

そう言うチカさんの言葉の響きからすると。


「根に持ってるんや」

「うん。ま、もう今は私が1つ大人だからタメ口禁止だけど」

「や。やめへん」

「・・・頑固」



「今年1番の失敗は何ですか?」

「・・・」

「・・・」

「・・・っ、笑わんで」

「もう・・・アレしかないよね」


そう言って、お腹を抱えて笑うチカさんを横目に拗ねてみる。

あー・・・全ツの初日映像、持ってる方は消してください。


「今年挫折したことってありますか?」

「ない。今年も全力投球」

「ある。私の名前、ライブでしか言わなかった。
 しかも、たったの2回だけ。」


ファンの人からの質問で、呼びゃーしませんって物投げたの
あの時だけだもん。と、今度はあっちが拗ねている。

・・・後で、頑張って言ってみようかな。

なんて、この人を喜ばせられるならと思うと
チカさんにとことん甘いなぁ、弱いなぁって感じてしまうけれど。



「家以外で、今年1番自分がいた場所ってどこですか?」

「・・・」

「これは別に言わなくてもいいよ」

「・・・一番わかってますもんね。私がどこにいるか」

「まぁ、恋人なんで」



「今年1番高い買い物は何ですか?・・・私はパソコンかなー」

「愛しのあの子のためにね」

「こないだ届いた写真、めっちゃ可愛かったんやで」

「私は、、DVD」

「え、DVDってそんな高くないでしょ」

「DVDにしては、ちょっと高めでした」

「何買ったの」

「・・・怒らへん?」

「もしや」


だって、どうしても欲しかったんやもん!



「もし今年1年のどこか1日に戻れるなら、いつに戻りたいですか?」

「戻んなくていいです」

「・・・なんで?」

「どれも幸せやったけど、来年だって幸せやもん」



戻るよりも、進んでいきたい。

戻ったって、それは過去やもん。

幸せなら、これからだっていくらでも作っていける。



「自分の中で、今年1年はどんな年になりましたか?」

「濃かった。色んなことに挑戦したし、やりたいことも出来たし」

「毎日アドリブとかも頑張ったよね」

「ね。気が合った日はめっちゃ嬉しかった」

「サンバステップとかね」

「・・・メイドとかね」

「ゆみこもしたけどね」

「あれは、なっちゃんの陰謀や」



「今年1年の恋愛運はどうでしたか?・・・どうでしたか?」

「チ、カさん、顔近い」

「なんて言うか気になるもん」

「普通やったと」
「え、何?」
「・・・」

「すっごく良かったって?」

「・・・自分で言うてるやん」


チカさんと、いっぱいおられたんやから
恋愛運は大吉すぎたな〜なんて、絶対言うてやらんもん。



「今年1年を一言で表してみてください」

「チカさんは?」

「え、ゆみこ決まってるの?」
「うん」

「んー・・・変化の変、とか。進化の進、とか?」

「相手役さんが変わったもんね」

「ゆみこは何?」

「もちろん、愛、です」

「あー、ディナーショーの時に言ってたね」

「来年も、愛いっぱいでいきます」



心がけなくても、ゆみこはいつだって愛がいっぱいだよ。

そのチカさんの言葉で、もっと愛でいっぱいになれそうやって思った。



「来年の自分に向けて一言どうぞ」

「こないだラジオでも言うたけど、信じて進め」

「・・・うん」

「チカさんも?」

「うん、私も」



自分が信じる道を、信じて進みたいよね。

チカさんの温かい笑顔と一緒に、抱き寄せられた。

チカさんと進んでいく道も、信じてるからね。

だから、怖くないんだよ。

そう気持ちを込めて、抱き返した。



来年も、じゃなくて、これからも。
チカさんの、そばにいさせてください。



そして。

すべてに愛を込めて、進んでいけますように。



fin.


*おまけ*


「今年も年越し蕎麦、食べましょうね」

「・・・ハマコがね」
「いないとね」

「後チアキがね」
「・・・今年こそ、ちょっとはお手伝いできるんかな」

「でも、どうせ台所追い出されるだけだよ」
「だよね」

「「・・・」」



改めて fin.→あとがき
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