*Le soleil*

□結婚線
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「ふーん。ちなみに、誰と一緒にいれたらいいの?」

「・・・そんなん分かってるくせに」

「分からないから聞いてるのに」

「・・・言わせたいだけやん」

「あ、よく分かってるね。エライエライ」



そう言って、犬にするみたいに頭をワシャワシャと撫でた。



「もー、犬扱いせんといて」

「私の可愛い豆芝ですから」

「・・・レトリバーになってみせるもん」

「楽しみにしてる。で?」

「え」

「誰と一緒にいたいか、知らない人にも分かりやすくどうぞ」

「・・・そ、それは」

「あ、でもゆみこさー」

「もー・・・今頑張って言おうとしてるのに」

「ごめんごめん。でも、今思い出したんだけど」

「何ですか」

「銀座の母に、幸せな結婚生活を送るって言われてなかった?」

「あ、そういえば」



日頃の行い、いいからですかね。
なんて嬉しそうな笑顔で言ってるけど、
それって問題発言だと思うのは私だけ?


「つまり、ゆみこは結婚するってことか」

「え?」

「だって、結婚しない人に幸せな結婚生活を送る、なんて言わないでしょ」

「そんなことないで・・・」
「ある」

「・・・即答せんでも」

「私は合コンか紹介してもらわないと出来ないらしいから」

「私も恋愛結婚はないって言われたんで、同じですよ」

「でも、結婚したら安泰だ」

「占いどおりにいけば・・・ですけど」

「ゆみこ、結婚しちゃうのか」

「チカさん・・・怒りますよ」



そう言ったゆみこは、すでに顔が怒っていて。
別に怒らせたかったわけじゃない。
あの占いを間近で聞いている時も、ふと思ってしまった。
ゆみこは結婚したら幸せになれるんだ、と。
それは、ただの占いに過ぎないのだけれど。


ゆみこは私を愛してくれて、私もゆみこを愛していて
それで幸せだから、別に結婚できなくてもとは思う。
ただ、『結婚』というキーワードが出るとやっぱり考えてしまう。
そんなこと考えたって仕方ないのに
そのことで少し落ち込んだりする自分もいて。



「結婚、していいんですか」

「・・・ゆみこがしたいなら」

「チカさんの知らない誰かと結婚して、
子ども産んで幸せに暮らしますよ?」

「それも・・・いいのかも。
女性としての幸せ、だしね。
ほら、ゆみこ子ども大好きだし」

「それ・・・本心ですか」

「・・・・・」

「チカさんの・・・アホ」




怒った顔のまま、ゆみこが抱きついてきた。
ちょっと苦しいくらいに強く抱きしめてくる。



「私のこと、いらないって聞こえます」

「そういう意味じゃな・・・」
「そう聞こえるんです」



回した腕の力を弱めてくれる気配は全然なくて。
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