*Le soleil*

□笑顔の法則
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「ほら、戻ろ。キムほったらかしできちゃった」

「その前に」



今度は、音にするのが難しい笑顔だ。

言葉にするなら興味津々。



「何が、いいなぁ、なんですか?」



ちゃんと聞かれてたのが、すでに恥ずかしい。



「だから、姪っ子ちゃんが」

「?うちの姪っ子?」

「そう」



頑固者同士だから、どっちかが折れないと、どっちかが拗ねることになる。

今日は、私の方から折れてあげよう。
1つ先輩な分、ちょっと余裕があるフリもしたいし。



「可愛いから?」

「うん、可愛いから姪っ子ちゃんになれたらなって」



あんな笑顔、いつも向けてもらえるなら。

や、私にだって笑顔で接してくれるけどね。

なんていうか、ちょっと違う。

無条件に愛おしんでる笑顔は、私に向けてくれるわけはなくて。



「・・・それは困る」

「え、何で」

「だって・・・チカさんがおらんくなるってことでしょ?」



それは困ります。

そんな真剣に考えられて言われると、どう反応していいやら。



「でも、可愛い姪っ子ちゃんとして傍にいるよ?」

「チカさんがおらんくなるのは、嫌やもん・・・」

「好きだから?」

「そう、、って、何言わせるんですか」



何でいつまでたっても、そんなに可愛いかなぁ。



「じゃあ残念だけど、ゆみこのために姪っ子ちゃんになるのは諦めようかな」

「・・・なんで、うちの姪っ子ですか?
 チカさんの姪っ子さんだって可愛いじゃないですか」

「だって、ゆみこの笑顔が見れるじゃない」

「え?」

「いっつもデレデレした笑顔で見つめてもらえるなら
 姪っ子ちゃんになりたいなーって思ったの」

「デレデレって・・・」



本音を暴露したところで、教室に帰ろうと促す。

2人でテクテク歩きながらも、ゆみこは何か考えてる顔をして。



「私・・・笑顔じゃないですか?」

「え?」

「チカさんといる時は、、笑顔じゃないですか?」

「や、笑顔だけど・・・姪っ子ちゃんの方が愛を感じる」



まぁ、所謂、大人気ないヤキモチってことで。


弱点:ゆみこ
ライバル:ゆみこの姪っ子ちゃん


自分がちょっと情けなく感じてしまうのは、置いとこう。



「・・・分かっとらん」



ゆみこが何か呟いたけど、よく聞こえなかった。




「チカさーん!」

「何、どうしたの」

「マカロンのお裾分け、ありがとうございます!」

「ああ、キムそれ好きでしょ?」

「はい♪なので、お返しにコレどうぞ♪」

「?」



キムからもらったマカロンのお返しは。

キムがこっそり写した写真1枚。


そこに映っていたのは、私が自主練する姿を見つめてる
あの時よりデレデレの笑顔のゆみこだった。



「やっぱり姪っ子ちゃんになるの、やめてよかった」

「?なんでですか」



ゆみこの目の前に写真を差し出すと、ガバっと手で顔を隠すから。

ナイスリアクション。



「こんな笑顔で見つめてもらえるなら、私でいたいもの」



ゆみこの顔は、どんどん赤くなっていった。




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