BOOK3
□守る、君の安らぎを
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“地下鉄のロッカー”から彼女を連れ出した時。
二度と会えなくても――いや、むしろ会わない方がいい。
そう思っていた。
なぜなら、妖怪と関わらずに暮らす事こそ、彼女にとって平穏であるからだ。
奴良組が近くにあるがゆえに、それが奪われてしまう。
関係ない者を巻き込みたくはない。
しかし、彼女は言う。
『そんな顔をしないで。奴良くんと友達でいるって決めたのは、私自身だもの』
彼女の瞳は、大切な友人を信じる、純粋で強い力を孕んでいた。
――そうか。
ならば拙僧は、彼女に危険が及んだ時、どんな場合だろうと馳せ参じよう。
それがせめてもの責任だ。
何よりも、彼女の安らぎのため。
彼女の笑顔を曇らせぬために。
拙僧は守っていこう。
寄りすぎず、また遠すぎてもいけないから。
ゆえに、彼女の“近く”で――。
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