BOOK(献上と頂戴)

□秋空は青く
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秋晴れと呼ぶにふさわしい、雲一つない高い空の下。

「ふうっ…」

庭を一通り掃き終えた首無は、一息ついた。

奴良組の敷地内には、多くの木々が植えられている。

紅葉して落ちた葉を箒で集めたら、こんもりと盛り上がった小さな山ほどになっていた。

「ま、こんなものか」

そこに小妖怪がわらわらと群がってきた。

「すげーっ。こんなに葉が落ちたのか」

数匹の妖怪は感動している。

「なぁなぁ!あれやるんだろ、あれ」

また別の数匹は、期待するように首無の足元でぴょんぴょん跳ねた。

「そうさ。さ、誰か火を扱える者は火をつけておくれ」

首無が呼びかけると、なめくじのように地を這う妖怪が進み出て、枯葉の山に火を吹いた。

ぱちぱちと火がはぜる。

飛び散った火の粉が当たった者が飛び上がり、それを他の者たちが笑った。

首無もつい笑い声を立てた。

延び上がる炎は暖かく、みなそれぞれに暖を取る。

やがて、焚き火がいい塩梅になったころ。

下ごしらえをした薩摩芋を抱えた毛娼妓と若菜が、母屋から出て来た。


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