BOOK2

□trickでtreatな夜
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「ねぇねぇ、ゆら〜」

机替わりのちゃぶ台に向かって手を動かしているゆらに、馬頭丸は嬉々として寄っていく。

「なんや。私は今、宿題という敵を倒さなあかんねん。静かにしとき」

そっけなくあしらわれるが、馬頭丸は気にしない。

「知ってる?今日はお菓子を貰えたり、悪戯をしてもいい日なんだって」

「はぁ?なんやそれ」

「ほら、えーと…"はろうぃん"とか言うの」

そう言われてゆらは、そう言えば十月三十一日だったなと思い返す。

それはどうでもいいが、うるさいので黙ってほしい。

「そんなら、これでも食うとき」

と、夜食に買っておいたかりん糖――ちなみにネギ味噌味――を馬頭丸の口に突っ込んだ。

突っ込まれた馬頭丸は、バリバリと噛んで飲み込んでから、口を尖らせる。

「ゆらってば冷た〜い」

「私は忙しいんや」

「む〜。じゃあ、悪戯しちゃう!」

と、馬頭丸は後ろからゆらに覆い被さった。

「ひぃやあぁぁぁっ!どこ触ってんねんっ!?」

「ゆらのぺったんこな胸?」

絶叫するゆらに、馬頭丸はしれっと返す。

「言うなアホ!!さっさと離れ……ひゃっ」

腹に巻き付いた腕でぐっと密着させられて、思わずゆらは上擦った声を出した。

「今日はずーっと悪戯してあげるからね」

「いらんわっ!はよ離せ!!」

「悔しかったらゆらも悪戯すればいいのに」

いつか絶対滅してやる、と、本気で抗えない刺激に堪えながら思うゆらであった。



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