BOOK2
□宵の明星
1ページ/5ページ
賑やかな宴を尻目に、一人離れた縁側に座し夜風に当たる女の元へ、男が近付いて来た。
「参加されないのですか」
今宵は、世間では所謂祝言と呼ぶもの。
隣にはいられないのに、素直に祝うなど出来る訳がない。
「・・・意地悪ね」
雪女はほぅ、と小さく息を吐いた。
陶器のような肌はうっすらと朱を帯びて、瞳には艶。
その美貌に、一体何人の男が虜になり、文字通り骨抜きにされてきたのだろう。
「隣、宜しいですか?」
「・・・ご自由に」
牛鬼は静かに腰を下ろした。
.