BOOK2
□お前のこと…
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「なぁ、冷麗…。オレは、お前が…っ」
「待って」
やや強引だとは思ったが、淡島たちとの特訓中に、二人で抜け出した。
細い手首を木に押さえつけて、長年ためてきた思いをぶちまけようとした途端、これだ。
「なんだよ。この期に及んで、まだ誤魔化す気か」
「違うわ」
じゃあなんだよ。
「イタク、あなたの言いたい事はわかるの」
「だったら…!」
もう、限界なんだ。
「イタク…。あなたがこの先に言おうとしている事…その意味を、ちゃんとわかってる?」
冷麗は、オレの気持ちが気の迷いだと言いたいのだろうか。
だったら、そんな心配は無用だ。
「わかってるさ。オレだってガキじゃねぇ」
「そう。なら、いいの…」
顔を上げた冷麗を、まっすぐに見据えた。
ただの“仲間”から“特別な女”にするために。
「冷麗。オレは、お前のこと――」
柄にもない臭い台詞に、冷麗は涙を一筋流して頷いた。
《後書き→》