BOOK1

□あな、清らなり
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長月中旬、天気は快晴。

時折吹く微風が睡魔を連れて来るが、空腹感がそれを許さない。

「天高く、馬肥ゆる秋・・・か」

昼休み、場所取りに中庭の草のベッドに寝転がっていた島は、仲間たちの声で体を起こした。

それぞれが思い思いに食事の準備を整えた頃、清継がいつもの調子で語り出した。

「諸君!見たまえ、この青空を!絶好のピクニック日和だ!」

学校だけどね、と言う巻のツッコミは無視の彼。

「こんな天気なら、竜田姫もさぞや喜んでいることだろう」

「竜田姫?何それ?」

耳慣れぬ単語に聞き返したのは、意外にもリクオだった。

「なんと!奴良くんともあろう者が、竜田姫を知らないとは!」

「いや、別にそういうのに詳しくないから・・・」

うちの側近たちは教えてくれないからなぁ、と言う呟きにつららが睨んだことは誰も気付かず、同じようにきょとんとしている。

「なんだ、みんな知らないのかい?仕方ない。この清継が教えてしんぜよう」

ここから、清継の竜田姫とはなんたるかが始まった。



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