BOOK(牛頭雪)
□風邪は安静に
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ちゃぽん・・・。
ぬるくなった手拭いを桶にはられた冷水にひたし、絞る。
それを目の前に横たわっている男の額に乗せた。
「まったく、馬鹿じゃないの?妖怪のくせに風邪をひくなんて」
「・・・るせー・・・」
もぞもぞと手拭いの位置を直して、牛頭丸はぼんやりと天井を見上げた。
それを見た雪女はため息をつく。
「おかゆ、作ったけど食べる?」
「・・・あぁ」
牛頭丸はゆっくりと起き上がった。
寝間着を着せられた彼の胸元ははだけていて、やけに生々しい。
そんな考えを無理矢理追い払い、雪女はお盆に乗ったおかゆを彼の膝に置いた。
ところが、牛頭丸はそれを黙って見つめていて、手をつけようとしない。
「どうしたの?冷たくないわよ」
「・・・なぁ、食わせてくれよ」
巨大な氷が牛頭丸の頭を直撃。
幸いにもおかゆはこぼれなかったが、本人は再び布団に倒れ込むこととなった。
「冗談じゃないわ!」
居間に戻ってきた雪女の、第一声がこれ。
「あ、つらら。牛頭丸の様子どうだった?」
「ご自分で確かめたらいかがです?」
なにやらご立腹の雪女に、リクオは首をかしげるばかりだった。
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