BOOK(牛頭雪)
□彼の優しさ
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プルルルルルルルルル―――・・・・・
『一番線にー快速電車が参りまーす。ご注意下さーい・・・』
プァーーーーーン
ガタンゴトン――ガタン、ゴトン――ガタン・・・ゴトン・・・・・
朝のラッシュ時。
ホームは人で溢れていた。
ドドドドドドッッ
プシューーーー・・・
「・・・これ、どうにかなんねぇのかよ」
「無理だよ。我慢して」
車両に押し込められて、不機嫌な牛頭丸をリクオが宥める。
乗客の誰もがテンションの低い中、話が出来る空気ではなく。
リクオを筆頭につららと倉田、おまけに牛頭馬頭という集団(と言っても、倉田が妙にデカいだけであとは普通の、一見中学生グループ)は大人しく電車に揺られていた。
ところが。
プシューーーゥゥ・・・
「あっ・・・」
学校の最寄り駅の一つ前で、新たに乗ってきた客たちにつららはリクオと離されてしまった。
腕を伸ばせば届きそうなものだが、この状態ではそれもままならない。
揺れと格闘しながら、どうにかならないかと四苦八苦していた。
その時―――。