BOOK(牛頭雪)

□手毬雪〜願〜
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ぽん、ぽん、ぽん・・・

賑やかな屋敷の庭に、規則正しい音が響く。

「そうそう、上手いじゃないつらら」

褒められた少女は照れ笑いを浮かべて、また手を動かす。

ぽん、ぽん、ぽん・・・ぽんっ

「あっ」

少女の掌と地を往復していたそれは、爪先に弾かれて転がっていった。

「ごめんなさいっ、拾ってくる!」

追い掛けて枝垂れ桜の根元まで来た少女に、それは少年の手で差し出された。

「ありがとう、馬頭丸」

「みんなで何してるの?」

「鞠つきよ。部屋の片付けをしていたら見つけたの。一緒にやる?」

「よく分かんないけど、やる!」

のりのいい少年に微笑んで、少女はつと顔を上げた。

「あなたも来ない?」

「・・・けっ」

返ってきたのは、予想通りの不機嫌そうな声だった。


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