BOOK(牛頭雪)
□惑い、酔う
2ページ/3ページ
後頭部をがっちりと押さえられ、熱い液体が流し込まれる。
こぼさぬように必死に飲み込むと、喉が焼けるように熱い。
口内の酒がなくなっても離してはもらえず、牛頭丸の舌が、まるで最後まで搾り取ろうとするかのように蠢き、かき回す。
強い香りが鼻腔をかすめ、直接脳を刺激する。
ようやく離された時には朦朧としていて、二人一緒に倒れた。
必然的に牛頭丸の頭がつららの胸元にくることになり、おまけにすり寄って来るものだから、どうにも妙な感覚が湧き上がってしまう。
「いい匂いだ・・・」
「はっ、離れなさい!変態!!」
この時分、そして屋敷の端の方と言えども、いつどんな目や耳があるか。
じたばたと暴れてみるけれど、上にのし掛かられていては動くに動けない。
「雪んこ・・・」
間近で見る牛頭丸は男らしくて、平常では感じられない艶が滲み出ていて、つららは次第に抵抗する気力を失っていく。
「今日だけよ・・・」
それでも、どこか嬉々としている自分がいることは否めなかった。
そう。
今宵、私を酔わせるのは・・・。
【次項→あとがき】