BOOK(牛頭雪)

□惑い、酔う
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後頭部をがっちりと押さえられ、熱い液体が流し込まれる。

こぼさぬように必死に飲み込むと、喉が焼けるように熱い。

口内の酒がなくなっても離してはもらえず、牛頭丸の舌が、まるで最後まで搾り取ろうとするかのように蠢き、かき回す。

強い香りが鼻腔をかすめ、直接脳を刺激する。

ようやく離された時には朦朧としていて、二人一緒に倒れた。

必然的に牛頭丸の頭がつららの胸元にくることになり、おまけにすり寄って来るものだから、どうにも妙な感覚が湧き上がってしまう。

「いい匂いだ・・・」

「はっ、離れなさい!変態!!」

この時分、そして屋敷の端の方と言えども、いつどんな目や耳があるか。

じたばたと暴れてみるけれど、上にのし掛かられていては動くに動けない。

「雪んこ・・・」

間近で見る牛頭丸は男らしくて、平常では感じられない艶が滲み出ていて、つららは次第に抵抗する気力を失っていく。

「今日だけよ・・・」

それでも、どこか嬉々としている自分がいることは否めなかった。

そう。

今宵、私を酔わせるのは・・・。



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