BOOK(牛頭雪)
□君に逢いにゆく
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文月上旬。
この日、仁侠一家・奴良組はいつにも増して賑やかだった。
あちらこちらに動き回る者、何を勘違いしたか宴の希望を主張し合う者・・・。
つららはと言えば、丁度手の平に収まるくらいの色とりどりの紙を妖怪たちに配り歩いていた。
「なんだ、これ?」
渡された長方形の紙をひらひらと振って、不思議そうに見る牛頭丸。
「短冊よ。今日は七夕だから、お願い事を書くの」
「あぁ、星を見るんだろ?それが願い事と何の関係があるんだよ」
「あら、知らないの?星にまつわる素敵な伝承を」
怪訝な様子の牛頭丸を前に、つららは語り出した。
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